本人の許可なく土地を勝手に売ることはできるのか

土地は高額で取引されるものなので、お金に困ったときには売りたいと考える人も多いでしょう。例えば、親の土地を売って借金を返してしまいたいと思う人もいるかもしれません。このようなときに親の許可を得ないで勝手に売ることはできるのでしょうか。

他の品物の売買とは少し異なる点があるので注意しなければなりません。

土地は一般の品物と違って法律によって管理されている

中古品の取引はリサイクルショップや買取店などでよく行われていますが、土地は不動産会社が扱っているのを目にするでしょう。リサイクルショップでは漫画や雑誌、ゲームやDVDなどの娯楽に使用するものから、衣類や家具、家電などの生活に使うものまで幅広く中古品を売買することが可能です。

そして、土地とは違って、一般的な品物の場合には実は所有者本人でなくても売ることができてしまいます。しかし、土地の場合には簡単には売れない仕組みになっています。土地は国の重要な資産として扱われているので、法律により管理体制が整えられているからです。

土地は所有者でないと売れないのが原則

土地は一般的な買取店やリサイクルショップなどでは取り扱われていません。これは土地については国による管理が行われていて、簡単には売買できないようになっているからです。登記簿にどの土地の所有者が誰かが記載されていて、売るときには登録免許税を納めて登記簿の内容を書き換えなければならない仕組みになっています。

その売買手続きをするときには本人が行わなければならないのが原則です。なお、司法書士などに依頼して代行してもらうこともできますが、本人がそれを認めたという書類を準備する必要があります。また、土地の売却をするときには書類も整えなければなりません。

この土地を売りたいと、土地を見せて不動産会社に仲介や買取を頼んでも応じてはくれないのです。登記済権利書、または登記識別情報がなければ土地の売買はできないので、勝手に売るにはこれらの書類を手に入れることが必要です。

それに加えて、固定資産税納税通知書や固定資産税評価証明書、土地測量図などを用意することになります。そして、土地の持ち主の印鑑証明書と実印、住民票も準備しないと売買契約をすることはできません。これだけのものを揃えるだけでも、本人以外にはかなり難しいのは明らかでしょう。

ただ、特別なケースでは書類だけなら揃えられる可能性があります。

必要書類を整えられた場合にはどうなるのか

必要書類も家族だったら揃えられる可能性があるでしょう。土地に関わる書類の保管場所を知っていれば基本的な書類は手に入ります。そして、家族であれば役所に行って代理で住民票や印鑑証明書を発行してもらうこともできないわけではありません。

委任状が必要な場合にも実印を持っていれば偽造してしまうことができます。このような準備を経て、持ち主に知られずに不動産会社に相談に行き、土地を売りたいと言えば対応してくれる可能性は十分にあるのです。例えば、本人は仕事で忙しいから妻や子供の自分が不動産会社に行ってくるようにと言われたと伝えれば信じてもらえるでしょう。

しかし、それでもやはり本人に知られずに勝手に売ることは通常はできません。媒介契約を結んで仲介をしてもらうというところまでは進めることもありますが、売買契約をする段階で本人の意思確認をしたいと言われてしまう場合が多いからです。

不動産会社としても本人の意思がわからないと、家族が勝手に売ろうとしているのではないかと疑いを持つことがあります。仮に、電話でも構わないので連絡を取りたいと言われたときに頑なに断り続けるとますます怪しいと思われてしまうでしょう。

結果として、この件はなかったことにされてしまいがちなのです。

関連記事:相続した土地を売ると扶養から外れるって本当?

売れてしまったときの問題点

もし、不動産会社が家族の言葉を信用して売買契約までしてしまったとしましょう。そして、引き渡しまでできてお金を入金してもらうと、確かに本人の許可なく売れてしまったことになります。ただ、それを本人が間もなく知ることになってしまうので注意しましょう。

固定資産税の納税通知がこなかったり、不動産会社から手紙が届いたりすればわかってしまうのは明らかです。それで本人が納得してくれれば問題はありませんが、通常は土地を返して欲しいという話になるか、損害賠償を出せということになるでしょう。

また、この取引の際に使われた書類は全て残されているため、誰が売ったのかはすぐにわかってしまいます。代理で売った場合にも本人確認書類は確認されるからです。一般的な契約書では本人以外が売ったような問題のある取引だった場合に契約を破棄できるようになっています。

そのため、土地は本人の手に戻ってきて、売って得たお金は返さなければなりません。さらに、それによって受けた被害に対して、買い手が損害賠償を求めることもできます。

売ってお金を得たつもりが大損をする形になってしまうので勝手に売るのはやめた方が良いのです。

関連記事:農家の土地を売る際のコツ

本人に判断力がない場合には

中枢神経系の病気を患っていると本人には判断力がないとみなされます。親が病気になってしまったから土地を売ってお金を手に入れようと考えたというようなケースでは本人の意思に関わらずに売れることもないわけではありません。

それは、医師や弁護士などを交えて売っても良いかどうかを判断するということになります。そして、後見人を立てることによって法的に正しい手続きで土地を売る手筈を整えることは可能です。手間はかかりますが、どうしても売らなければならないときには検討してみましょう。

このような例外的なケースを除外すれば、基本的には土地は登記簿に記載されている人しか売れないと考えていた方が無難です。その原則を守らないと、売れたとしてもかえって損をしてしまう可能性が高いでしょう。また、本人に判断力があるかどうかは病気に関わる原因の場合には医師が決めます。

診断基準も明確に定められているので、本当に判断力がないときにしか売れないと思っていた方が良いでしょう。

悪徳業者の見極めにも活用しよう

このように勝手に売れないように管理されていることを知っていると、悪徳業者の見極めにも役立ちます。他人名義の土地を売りたいという話を切り出してみて、応じてくれるようであれば問題がある業者だろうとわかります。

そのため、少し怪しい業者かもしれないと思ったときには話題に挙げてみると良いでしょう。