相続した土地を売ると扶養から外れるって本当?

扶養家族でいると、様々な税金や健康保険料の負担が軽くなります。扶養から外れるのは、妻の年収が大きくなった場合です。それでは、妻が相続した土地を売ることによって得た収入が、大きかった場合も扶養から外れてしまうのでしょうか。

税金や保険料の負担が大きくなるのは困るので、売却しないほうが良いのか悩んでいる人もいるでしょう。ここでは、妻が不動産を相続した場合に考えたいことをまとめました。

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扶養家族がいる場合に利用できる控除

平成29年度に行われた税制改正によって、配偶者控除と配偶者特別控除が見直されました。配偶者控除は収入が無い、あるいは年収が150万円以下の配偶者がいる世帯主の税金負担を軽くするための制度です。一方、配偶者特別控除は、年収201万円までの収入がある配偶者を持つ世帯主の税金を軽減します。

配偶者の年収が150万円までであれば最高38万円の控除が受けられるものの、改正により世帯主の所得制限が加わったため、年収1,220万円超の世帯主は対象外となります。そもそも配偶者控除などの制度は、配偶者を持つ納税者の負担を少しでも軽減して、生活を安定させるために設けられたものです。

ですから、収入の多い人は負担を減らさなくても問題ないだろうという判断がなされているのでしょう。

配偶者控除以外に気をつけたいこと!

配偶者控除は税制改正で年収の上限103万円が150万円に拡大されました。しかし、中小企業で勤務している場合は年収130万円を、大企業に勤務している場合は106万円を超えると、社会保険に加入することになります。

こうなると、夫の被扶養者ではなくなり、年収の約14%を社会保険料として納めなければいけません。年収が何千円か増えただけであっても、130万円、もしくは106万円をオーバーしてしまうと、年間15~25万円ほど負担が増える可能性があります。

また、大企業であれば厚生年金となるので、企業と負担を分け合うことになりますが、中小企業であれば国民年金に加入することになり、家計の負担が増大します。

不動産相続で発生する譲渡所得とは

親が亡くなった場合、妻が土地を相続することもあります。相続後、土地を利用するつもりがないのなら、固定資産税や都市計画税が毎年かかってくるので、売却するのが賢明でしょう。しかし、土地を売却すれば、少なからず収入を得ることになります。

これを譲渡所得といい、売却代金から不動産購入時の代金と売却時にかかった経費を差し引いた利益を意味します。ただ、建物は購入した金額ではなく、減価償却後の金額です。減価償却とは、使用するにしたがって下がってくる価値を、費用に計上することです。

減価償却費の計算は、税抜きの建物取得費に0.9と償却率、経過年数をかけて出します。一般住宅の償却率は、木造の場合で0.031、軽量鉄骨の場合で0.025、鉄筋コンクリート造の場合で0.015です。

賃貸マンションなどの事業用建物では、順に0.046、0.038、0.022となります。建物取得費は、親が購入したときの金額で良く、相続したときに不動産価値が高くなっていたとしても関係ありません。また、購入したときにかかった仲介手数料や不動産所得税、登録免許税、さらに印紙税なども含めることが可能です。

購入時の契約書や領収書などがあると計算が楽にできるでしょう。ただ、領収書に土地と建物を分けた金額が明記されていないこともしばしばあります。この場合、税務上特別な決まりはないので、客観的に見ておかしくなければ、自分で分けても問題ありません。

譲渡所得にかかる税金譲渡所得にかかる税金

譲渡所得を得た翌年には、住人税を含む所得税がかかります。譲渡所得にかかる所得税は、保有期間によって税率が変わってきます。不動産を売った年の1月1日までの保有期間が5年を超えている場合は長期譲渡所得となり、所得税率が15%、住人税率5%となります。

5年以下で売った場合は短期譲渡所得で、税率は所得税30%、住人税9%です。譲渡所得は確定申告を行う必要があるものの、売却益が出た場合のみに限られ、売却損が出た場合は該当しません。さらに、売却益が出ても確定申告時に譲渡所得額から3,000万円を減額できる特別控除が適用されるため、所得税を払わなければいけない人は多くないでしょう。

ただし、特別控除を適用するには、条件を満たす必要があります。戸建ての建物で昭和56年5月31日以前に造られたものであることや、譲渡時に耐震性規定を満たしていること、相続開始の直前に被相続人以外の住人がいなかったことなどです。

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必ずしも所得税を払う必要はない!

不動産を相続しても、仲介手数料で減額されるので、購入費用を何千万円も大きく上回った金額で売却できなければ、譲渡所得は発生しません。バブルという特別な時代であれば譲渡所得が得られる土地もありましたが、近年では購入から数年経てば価値が下がっているのが一般的です。

したがって、多くの人は扶養から外れる心配をしなくて良いでしょう。もし扶養から外れても、一過性の所得になるので、また翌年から扶養に入れます。

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忘れてはならない相続税

東京都心などの一等地を相続した場合は、譲渡所得で売却益が出ることもあるかもしれません。また、購入したときの金額が不明な場合は、売却価格の5%で取得費が計算されますが、こちらも売却益が出る可能性が上がります。

さらに、所得税以前に、相続すること自体に相続税が発生します。少しでも節税したい人は、相続税の取得加算という制度を利用すると良いでしょう。これは、不動産を相続した翌日から相続税申告期限の翌日から3年以内に売れば適用される制度です。

不動産を売却した価格から、取得費や譲渡費用だけでなく、相続税額も加算できるので、譲渡所得を軽減できます。

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念のために知っておきたいその他の特例

親が住んでいた住宅を相続する場合は、小規模宅地等の特例が利用できる場合があります。

これは、330平方メートルの部分まで土地の評価額が20%に減額される制度です。これによって、財産の評価額を基に算出される相続税額が、大きく減額される可能性が高くなります。

この制度が利用できるのは、被相続人と同居していた相続人であり、相続税の申告期限である10ヶ月以内まで住み続けている場合です。しかし、同居していない場合でも、被相続人に配偶者や同居していた親族がおらず、相続開始前3年以内に相続人やその配偶者所有の家に住んだことがなければ適用が可能です。

ただし、この特例を使うと前述の特例、相続税の取得加算を使うことができません。どちらが得になるか、しっかりと計算する必要があります。